データサイエンスは、情報を科学的に解釈する手法であり、データの収集や分析に関わる技術の進歩によりますます重要度が増しています。
ITエンジニアとしてデータサイエンスのスキルを身に着けることは、将来のキャリアにとても有益であり、就職や転職の幅も広がります。
本記事の前半ではデータサイエンスの概要とその価値、後半は学習方法や資格を紹介しています。
データサイエンスに興味がある方は是非ご一読ください。
データサイエンス/統計学コースの講座があるスクール6社の比較表です。コース名に公式サイトへのリンクを貼っています。
運営 | コース | 税込料金 | 学習期間 | 学習形態 |
Aidemy | データ分析講座 | 528,000円~ 給付金で最大70%オフ |
3か月~ | オンライン |
データミックス | データサイエンティスト育成 | 入学金27,500円 受講料165,000円~ 給付金で最大70%オフ |
6週間~ | 通学(東京) オンライン |
キカガク | AI人材育成長期コース | 792,000円 給付金で最大70%オフ |
6か月 | オンライン |
TechAcademy | データサイエンス | 174,900円~ 給付金で最大70%オフ |
1か月~ | オンライン |
AIジョブカレ | 統計+R講座 | 70,400円 | 4か月 | オンライン |
CodeCamp(講座中止) | Pythonデータサイエンス | 入学金33,000円 受講料162,800円 |
2か月 | オンライン |
RやPythonを学べるプラグラミングスクールの紹介記事はこちら↓
データサイエンスとは?わかりやすく説明
IT業界の中では、常に新しいタイプの技術や職業が生まれていますが、より重要性が増している分野にデータサイエンス(Data science; DS)があります。
データサイエンスとは、情報を科学的に解釈する手法を意味します。どの業界でもそうですが、マーケットや顧客、ライバル、経済情勢などの情報をくまなく集め、それを活用できる企業が競争を制します。その重要なカギを握るデータを扱う職業ということで元々ニーズは高かったのですが、近年特にデータの収集や分析に関わる技術が進歩してきたことで、その注目度はさらに高まっています。
データサイエンスと一口に言っても、実に幅広い範囲をカバーしていますので、細かく定義するのは難しいです。たとえば、データを収集するためのシステムを提案したり開発したりするエンジニアもいれば、データ収集そのものに専念する人、加工をするプロなどもいます。
- 分析計画の立案
- サンプルデータの収集・蓄積
- データ分析のためのデータ加工・前処理
- データの分析・結果の解釈
- モデル構築
さらには、上がってきたデータを分析したり、それをそれぞれの企業やマーケットに適用して解釈したりする業務もあります。データサイエンスと言った場合、たいていはデータの収集と分析、解釈までを一貫して行う作業を指しますが、特定のプロセスに特化するケースもあります。
IT関連の進歩は目覚ましいものがあり、短いサイクルでトレンドが移り変わっていきます。その中でも、データサイエンスは現在、長期的に見てもさらに重要度が増す分野と見られています。大企業を始めとして様々な業界の企業がデータサイエンスの手法を取り入れて、マーケティングや経営戦略の意思決定を行うようになっています。最先端技術であるAIとの関連性も非常に強く、どちらも開発が急速に進んでいるジャンルです。
こうしたことを考えると、ITエンジニアとしてデータサイエンスの分野でスキルを伸ばすことは、将来につながるキャリアを身に着けるのに役立ちます。かなり高度な技術が開発されているとはいえ、まだまだこれからの分野ですから新しいジャンルに身を投じられるというのは、大きなメリットと言えます。
また、これからは大企業だけでなく、多くの中小企業にまでデータサイエンスの活用が進んでいくことが考えられますので、就職の幅もぐっと広がることが予測されます。そのため、就職や転職という現実的な問題を考えた時にも、この分野を選んでスキルを高めていくというのは合理的です。
データサイエンス活用事例
データサイエンスは、すでに様々な分野で活用されるようになっています。特に、ビッグデータの収集と分析によって戦略を立てるECサイトやコンビニエンストアにとっては、非常に重要です。
毎日販売される商品データや、登録し購買していく顧客のデータは膨大な量で、その変数(いつ、どこで、何を、どれだけ、年齢、性別、地域など)も多いです。こうしたビッグデータを解析して、顧客の傾向を理解することで、製品の需要トレンドや製品にマッチした顧客セグメント(顧客層)を把握します。
また、製品販売以外においてもデータサイエンスは欠かせません。災害予測や天気予想といった日常的なものから、株価の変動や為替の動きなどの金融取引にも用いられています。他にも、街頭における人々の動きをデータ化して、それを基に感染症の予防対策に用いるということも、新型コロナウイルス感染症の影響によって着目されるようになってきました。
こうした広い範囲におけるデータだけでなく、閉鎖環境においてもデータサイエンスが応用されています。たとえば、社内の労務や人事、業務改善のためのベースとして日々蓄積されるデータを活用する動きです。コンピューターの利用状況や営業スタッフの通話時間、成果や見込み顧客の問い合わせ件数などのデータを集めて、業務に無駄がないかをチェックしたり、改善できるポイントがないかどうかを探します。データサイエンスというと、マーケティングに主に用いられるという考えを持っている人もいますが、業務システムの効率化という面でも利用されています。
特に進歩が見られるのがAI技術とデータサイエンスの連携です。AIは膨大なデータを収集し解析することによって、学習をしていくという過程が非常に重要です。その過程はデータサイエンスの塊です。
AIエンジニアを目指したいと思っているのであれば、データサイエンスは避けては通れない道です。あまり表に出ませんが、優れたAIの背後には優れたデータサイエンスによって収集・分析された情報が存在します。
データサイエンスの勉強方法:スクールか独学
様々な分野での利用が進んでいるデータサイエンスは、スキルアップのためにとても有用な技術です。そのため、これを身に着けて将来のキャリアのために役立てたいと考えるのはとても理に適ったことです。問題は、どのように勉強するかということです。
学生なら大学や大学院でデータサイエンスを学ぶことができます。一方、社会人であればプログラミングスクールか独学です。
プログラミングスクール
データサイエンスを学べるプログラミングスクールは、ここ数年で急速に需要が増え、スクールもそれに合わせてたくさん存在するようになりました。
プログラミングスクールのメリットは、一番つらい学習初期を乗り越えやすくなることです。初心者にはデータサイエンスやプログラミングの常識がわかりません。知っていれば何でもないエラーや問題でつまづき、解決に時間がかかります。あらかじめライブラリやパッケージ(関数やデータのセット)を知っていれば30分間で書けるプログラムを、何時間もかけて自力で書いてしまいます。
まずはデータサイエンスの常識である基礎部分の全体をスクールで習得すれば、後は独学に切り替えてもそれほど苦労はしません。
プログラミングスクールの費用は、一昔前は英会話のように高額でしたが、今は競争もあってかなり低価格です。費用は講座の内容によって様々ですが、1-2か月であれば数万円で導入部分を学べます。オンラインで学べるので通学する必要もありません。
- 初学者が挫折しやすい最初の壁を乗り越えられる
- 受講料金が安い講座もたくさんある
- オンラインなので自宅で学べる
独学
独学でデータサイエンスを学ぶメリットは、費用がかからないことです。プログラミングスクールの受講料が安いといっても、市販されている書籍よりは高額です。また、インターネットでサンプルコードやQ&Aを見られます。
また、スクールと違い、学習期間が決められていないこともメリットです。短期集中で一気に学ぶこともできますし、1年かけてじっくり習得することもできます。一方で、期間が決まっていないので、いつまで経っても勉強が進まないというデメリットでもあります。独学でもスケジュールを立てて自分を律して勉強しましょう。
- 費用があまりかからない
- 学習期間を自分で決められる
数学/統計は避けられない:文系でも大丈夫
まずは、データサイエンスと一口に言っても、その範囲が広いので、特にどの分野を学ぶかを決めましょう。研究者レベルのデータ分析をしたいのか、AIエンジニアリングなのか、日常業務の効率化をしたいのか、といった感じで目的を絞ることで勉強する内容や言語もある程度決まります。
その上で、統計についての基礎を勉強することが大事です。データサイエンスでは、プログラミングなどのスキルも当然ながら必要となりますが、やはり基本は数学的な知識です。
データサイエンスで使う統計手法の例を挙げておきます。
- 確率/確率分布
- 統計的推定
- 仮説検定
- 分散分析モデル
- 実験計画法
- 回帰モデル
- 最尤推定法と最小二乗法
- ダミー変数、多重共線性、AIC、変数選択法
- 相関分析
- 主成分分析
- カテゴリカルデータの分析-クロス分析、関連と傾向、対応分析
- ロジスティック回帰、モデルの精度評価(AUC,ROC)
- ベイズ統計
- 要約統計量、変数変換、探索的な分析
- AR, MA, ARMA, ARIMA, 季節ARIMA, 指数平滑化, Holt-Winters
- 多変量の時系列モデル
- 状態空間モデル
文系出身でもデータサイエンスはできます。確かに、理系で統計学や数学を学んだことのある人の方が、知識の習得はより早いと思います。
しかし、データサイエンスに限らず何でもそうですが、知っていればできますし、知らなければできません。データサイエンスを半年学んだ文系とデータサイエンスを学んだことのない理系では、当然ながら前者の方がデータサイエンティストとしての価値は高いです。
データ サイエンスならPythonは必須
少なくてもデータサイエンスに限れば、Python(パイソン)は最初覚えるべきプログラミング言語です。もちろん、他のプログラミング言語でもデータ処理のプログラムを作ることはできます。しかし、ほとんどの会社においてPythonが使われています。「データサイエンティスト=Pythonが使える」と自動的に解釈されます。そのため、就職もしくは転職をして業務をしていく上では、まずはPythonから始めるべきです。
Pythonは他の言語に比べると、シンプルで少ないコードで命令を出せるという大きな特徴を持っています。そのため、今までphthonに触れたことがないという人でも、とっつきやすいです。同じプログラムを作るにしても、他の言語よりも短時間で記述できますし、ミスがあったとしても発見して修正するのが簡単です。
さらに、ライブラリと呼ばれる関数やデータのセットも非常にたくさんありますので、シンプルな処理だけならそれらをインストールするだけですぐにできます。ほとんどコードは必要ありません。
Pythonは、データ収集や処理だけでなく、AIの開発でも使われることが多くなっています。データサイエンスについてのスキルを身に着けつつ、AIに手を広げていくのもよいでしょう。検索エンジンやSNS、アプリ開発や音声認識プログラムなどでもPythonが使われています。
データサイエンスに関連する資格
資格試験データサイエンスに関連する資格を紹介します。単に勉強していてもつまらないという人は資格や検定合格を目指してみてはいかがでしょうか。客観的に自分の能力を知る機会にもなります。
統計検定 データサイエンス基礎(CBT)
一般財団法人 統計質保証推進協会の統計検定 データサイエンス(CBT)です。統計検定は昔からありますが、そのデータサイエンス版です。2021年に始まりました。
難易度別に基礎、発展、エキスパートの3段階があります。CBTとは、受験会場に設置されたパソコンから受験する方式です。残念ながら自宅では受けられません。基礎編なら社会人の受験料は税込7,000円です。以下は基礎編の出題範囲です。
- データマネジメント(層別・水準化・変数変換)
- データセットマネジメント(欠測値、外れ値処理、データセットの結合や構造化、抽出)
- 質的データの分析
- 量的データの分析
- 記述統計的手法
- 推測統計的手法
- クロス集計分析
- 相関・回帰分析等
Python エンジニア認定基礎試験とエンジニア認定データ分析試験
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営するPython エンジニア認定基礎試験とエンジニア認定データ分析試験です。
基礎試験はPythonのベーシックな文法、データ分析試験はデータ分析の方法に関する問題が出ます。どちらも、CBTセンターで受験し、受験料は税込11,000円、40問に対して70%以上の正答率で合格です。ちなみに学生なら学割が使えて半額で受験できます。
こちらがPython エンジニア認定データ分析試験の出題範囲です。
- Pythonと環境
- 実行環境構築
- Pythonの基礎
- Jupyter Notebook
- 数学の基礎
- 数式を読むための基礎知識
- 線形代数
- 基礎解析
- 確率と統計
- ライブラリによる分析実践
- NumPy
- pandas
- Matplotlib
- scikit-learn
- データ収集と加工
興味がある方は無料の模擬試験が受けられますので、一度トライしてみてはいかがでしょうか。
以下はPython エンジニア認定基礎試験の公式紹介動画です。
データベーススペシャリスト試験(DB)
データベース管理などインフラ寄りですが、情報処理推進機構(IPA)のデータベーススペシャリスト試験(DB)もあります。ITパスポートや基本情報技術者試験は有名ですが、それらよりもより専門性の高い内容です。以下が合格に求められる知識水準です。
- データベース技術の動向を広く見通し、目的に応じて適用可能な技術を選択できる。
- データ資源管理の目的と技法を理解し、データ部品の標準化、リポジトリシステムの企画・要件定義・開発・運用・保守ができる。
- データモデリング技法を理解し、利用者の要求に基づいてデータ分析を行い、正確な概念データモデルを作成できる。
- データベース管理システムの特性を理解し、情報セキュリティも考慮し、高品質なデータベースの企画・要件定義・開発・運用・保守ができる。
過去問も公開されています。
データサイエンスを学べば就職・転職しやすい?求人はある?
データサイエンスは、情報社会の中でも最も注目されている技術の一つです。導入が進んでいるとはいえ、まだまだ一部の産業を中心とした動きです。しかし、これからさらにそのすそ野が広がっていきます。
すなわち、就職・転職市場でデータサイエンティストは価値が高く、求人を見つけやすいというメリットがあります。求人ボックス給与ナビによると、データサイエンティストの平均年収は697万円でした。給与は年齢や勤め先によって様々ですが、年収は高いと言えます。
また、データサイエンスはあくまで分析手法なので、分野の掛け合わせによってさらに価値が上がります。
例えば、自社の製品知識があり、その上でデータサイエンスがわかると、顧客の動向や購買トレンドをより深く分析できます。製品の知識がないとただ数字を追っているだけになり、ある事象を発見したときにその背景にある変化や意味がわからず、浅い考察しかできません。
もしあなたがマーケティングの知識があるなら、そこにデータサイエンスを掛け合わせればとても価値のある人材になります。もしあなたが事務職ならPythonを少し勉強してみてください。手入力などルーチン作業はある程度効率化できます。
データサイエンスのエキスパートを目指しても良いですし、他の知識と掛け合わせたハイブリット人材になるのも良いでしょう。いずれにしても、企業から見れば魅力的な人材です。
データサイエンスを副業にできる?
副業データサイエンティストはあまりいません。なぜならデータサイエンスに関係する業務は、計画・実装・修正と比較的長期間で大きなプロジェクトとなる傾向があり、社内の人間で固めてしますケースが多いからです。
とはいえ、業務内容によっては副業として行えるものもあります。プログラミングの部分だけ企業から受託することはありますし、コンサルティングやアドバイザーとして相談を受けることもできます。大手企業というよりはベンチャー企業の方が案件は多いです。また、業務契約を結ぶとしても、大手企業は社内データを社外の個人へ出すことを嫌がります。
本記事のまとめ
本記事のまとめです。
- データサイエンスがわかる人材の需要は伸びる
- 最初はプログラミングスクールを利用した方が良い
- まずはPython
- データサイエンティストのプロもいいが、他の知識と掛け合わせたハイブリッド人材もあり
データサイエンス/統計学コースの講座があるスクール6社の比較表です。コース名に公式サイトへのリンクを貼っています。
運営 | コース | 税込料金 | 学習期間 | 学習形態 |
Aidemy | データ分析講座 | 528,000円~ 給付金で最大70%オフ |
3か月~ | オンライン |
データミックス | データサイエンティスト育成 | 入学金27,500円 受講料165,000円~ 給付金で最大70%オフ |
6週間~ | 通学(東京) オンライン |
キカガク | AI人材育成長期コース | 792,000円 給付金で最大70%オフ |
6か月 | オンライン |
TechAcademy | データサイエンス | 174,900円~ 給付金で最大70%オフ |
1か月~ | オンライン |
AIジョブカレ | 統計+R講座 | 70,400円 | 4か月 | オンライン |
CodeCamp(講座中止) | Pythonデータサイエンス | 入学金33,000円 受講料162,800円 |
2か月 | オンライン |
RやPythonを学べるプラグラミングスクールの紹介記事はこちら↓
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